華やかではなく、常に影となりて「ジョーカー・ゲーム」by柳広司


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photo by JD Hancock

猫より出でし者、どうも @bosunekoです。

柳広司「ジョーカー・ゲーム」を読み終わりました。
戦時中の日本を舞台にしており『スパイ』とあり方、考え方を根底から覆してくれる小説です。


映画やドラマで「スパイ」と言えば、運動神経抜群で、頭脳明晰で、変装の名人。
ギリギリのミッションも華麗にこなす華やかなイメージがあります。
ですが、この本で出てくる「スパイ」は真逆をいきます。


「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。


自分が死ぬとその国の警察が動き出す。謎を解こうと奔走する。すると、波風が立ちスパイ行為が暴かれるかもしれない。
人を殺すと同義。
とらわれた瞬間に、人は動けなくなる。家族、友達、夢、欲望・・・・。


だから、常に孤独なのだ。
自分の本当の正体を誰にもあかせず、常に緊張がつきまとう。
誰も喜んではくれないし、誰も気がついてくれない。
そんな『影』として生きる人たちの様々なミッションを描いたものがこの小説だ。


力で相手をねじ伏せる。相手を倒して前に進む。ハッキングをしてセキュリティを解除する。
そんな華麗でスマートな『スパイ』ではない小説を望むのなら、この本がオススメです。

この本の特徴


この本は短編集だ。
5本入っている。
その物語の根本は「D機関」と呼ばれるスパイ養成学校だ。
その学校を卒業した「スパイ」が数々のミッションをこなす小説である。


映画のような「スパイ」ではないが、スタイリッシュという言葉が当てはまる。
影になり相手の懐に忍び込み、情報を盗み、影となりて姿をくらます。
そんなスパイ小説です。


感想


スパイの生き様という物が分かる本。
常に孤独であり、任務のためなら結婚もするし、任務のためなら妻も子供も滅する。
感情とか人情とかは、「とらわれるな」の言葉の通り捨てるべきものだ。


彼らをささせるものは一つ「自尊心」だ。


「俺なら当たり前に出来る」「俺だから遂行できる」
この気持ちが異常に強いのだ。
だから任務をこなすことが出来る。

確かに自信は必要だが、異常なまでの自身は通常であれば自分をどん底に落としてしまう。
だが、D機関の人たちはスペシャリストな人たちだ。
「目に入った窓の数とか、物の数とか、特徴とか答えること」「今登ってきた階段の数」「どーでもいい文章の逆で暗唱すること」など数々の奇想天外な試験を突破してきた奇怪な人たちだ。


だから、能力も抜群だから自尊心を生かすことが出来る。


そんな彼らの任務は、文字で書いてしまえば地味だ。
とあるスパイ容疑の外人の家宅捜索、海外でスパイ容疑で捕まる、殺人事件の調査などなど「ふーん」とそれだけ終わってしまうかもしれない。
だが、待って欲しい。


彼らのこなす任務はスマートであり、スタイリッシュなのだ。
感情が前に出てこない。
そんな淡々と任務をこなす間でも思考がグルグル回り、ちょっぴりした予想外の出来事にも深い意味があったり、「魔王」と呼ばれる上司の存在があったりとけして一筋縄にいってないからこそスリルがある。


超人がこなす任務は、私達の予想を遙かにこえるやりとりがあり、裏の裏の裏がありとそこが楽しい小説なのだ。


今までの小説が飽きたのなら、一度この本を手にとってみてください。
新しい小説だなぁって実感出来ると思います。


まとめ



スパイの生き様が学べる本です。
是非ご一読を。

では、またー!

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