華やかではなく、常に影となりて「ジョーカー・ゲーム」by柳広司

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photo by JD Hancock

猫より出でし者、どうも @bosunekoです。

柳広司「ジョーカー・ゲーム」を読み終わりました。
戦時中の日本を舞台にしており『スパイ』とあり方、考え方を根底から覆してくれる小説です。


映画やドラマで「スパイ」と言えば、運動神経抜群で、頭脳明晰で、変装の名人。
ギリギリのミッションも華麗にこなす華やかなイメージがあります。
ですが、この本で出てくる「スパイ」は真逆をいきます。


「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。


自分が死ぬとその国の警察が動き出す。謎を解こうと奔走する。すると、波風が立ちスパイ行為が暴かれるかもしれない。
人を殺すと同義。
とらわれた瞬間に、人は動けなくなる。家族、友達、夢、欲望・・・・。


だから、常に孤独なのだ。
自分の本当の正体を誰にもあかせず、常に緊張がつきまとう。
誰も喜んではくれないし、誰も気がついてくれない。
そんな『影』として生きる人たちの様々なミッションを描いたものがこの小説だ。


力で相手をねじ伏せる。相手を倒して前に進む。ハッキングをしてセキュリティを解除する。
そんな華麗でスマートな『スパイ』ではない小説を望むのなら、この本がオススメです。 続きを読む