死ぬための訓練を過去の日本人がしていたことを君は知っているか?百田尚樹「永遠の0」を読んで


photo:Legends of a Promise by Storm Crypt

猫より出でし者、どうも @bosunekoです。


戦争はなくさなければいけない。
ましてや、行ってはいけない。誰もが口を揃えて言う。
「命」は大事だよと声をあらげて言う。


過去の日本は、一人一人の命を貴ぶ概念は存在しなかった。
命は使い捨てであり、自分が生きていれば替えが効くものと考えられた。そんな時代があった。


私たちは知らなければいけない。日本の過ちを。戦争を。
そして、死ぬために訓練する人たちの思いを。



あらすじ


時代は現代。母のこぼした「お父さんってどんな人だったんだろう?」の一言に、娘(姉)と息子(弟)が反応して調査を開始する。
祖父は戦争を生きた男だった。そして、神風として米軍に特攻して亡くなった。終戦60年目の夏。
そんな祖父の話しを、様々な戦争体験者から話しを聞くに従い、戦争の残虐さ、悲惨さ、隊員の想い、社会情景など浮き彫りにある。
時に涙し、時に怒りを覚えながら、祖父の輪郭を作り上げて行く。


そして、たどり着いた結末は優しさと悔しさが入り混じる形であった。


感想


photo:F-2 Viper Zero by delta16v

小説の題材は、第一次世界大戦から終戦まで時代を生きた人々だ。
天皇がどう考えていたのか?軍の幹部がこう考えていたではなく、実際に戦争に参加した人々が語る形で、戦争を描いている。
読み終わって最初に出た感想が「教科書には描かれていなかった真実がそこにはあった」というものだった。


正直なところ戦争は学校で勉強した知識しか私には無い。
つまり、興味が無かった。知る必要も無い事実だと考えていた。
そして、戦争を知らなくても今まで生きてこれたのだ。


だがしかし、この小説を読んで自分の過ちに気づいた。
過去の日本人が行った全ての事を、私たちは知っていなければならない。
戦争時代、日本を支配していた新聞社。結局は自分の出世しか考えていない上層部。戦略とか戦術とかまるでわかっていない上司。
その中でも、一生懸命自分の命を実りある形にしよう奮闘した兵たち。


特に書いておきたい事が「死ぬための訓練を学生たちが受けていた事だ」
半ば強制的に軍に将兵され、通常2〜3年かかる飛行訓練を1年で叩き込まれる。しかも、受ける訓練はただ単に真っ直ぐ飛行できるための訓練だ。つまり、特攻のためだけの訓練ってことである。


その訓練の想いの内を想像しても、考えてもきっと私には分からないだろう。
各々の葛藤があり、また自分の命ってなんだろう?っという疑問と戦いながら、自分の生きている意味を探す。いや、探さないと心の安寧は訪れる事は無かっただろう。


「死ぬ覚悟が出来ている」そんな事を容易く言えはしないと、この小説を読んで思った。
「命」の重みや尊さという概念を遥か超えて、何としてでも自分の人生を意味のあるものにしたいという彼らの執念を感じ取った。
そして、戦争を簡単に扱っていた私自身を悔いた。


学校は、私たちの過ちをしかと教えるべき。
戦争の悲惨さを。日本が行った破滅への足跡を。
そして、戦争がわかっていない人は是非この本をすすめたい。
涙が溢れて、戦争の意味が変わる事が感じられるだろう。

戦争を表す言葉


photo:Lest We Forget by john antoni

この小説を読んで心に響いた5つの言葉を紹介したい。

「生きて帰りたい」

祖父が語った一言。戦争の時代に上司には向かう事は禁じられており、「命」を捨ててまで命令に応じる覚悟をそれぞれの兵は持っていた。だが、祖父は里においてきた妻や子のために生き残りたいと語っていたと言う。時代背景を考えれば、この言葉はありえない。
だが発した勇気に立派な男を見た。


「今、その類い稀なる能力が自分たちを苦しめている」

タイトルの永遠の0のゼロは、日本が開発した戦闘機の名前から来ている。「零戦」と呼ばれた飛行機は当初世界最強の戦闘機とも呼ばれ、戦闘でも数々の戦歴を残していた。
この零戦の最も大きな特徴は、「8時間」も飛んでいられる航続力だった。だがしかし、航続力があってもそれに乗る戦闘員の事は考えられていない。そのためガダルカナル島での戦いでは、長距離による戦いで戦闘員たちは疲弊していった。


「卑怯なのは、俺も後から行くと言って多くの部下に特攻を命じておいて、戦争が終わるとのうのうと生き延びた男たちだ」

人の命をゴミ以下とも思っていた上層部が、自分たちはいかずに生き残ったという事実は何たる不実。
死んで償えっと思ってしまった私がいる。


「桜花のことはご存知ですか?人間が操縦するロケット爆弾です。」

桜花(おうか)というのは、自力で飛び立つ事が出来ず、また着陸する事が出来ない、飛行機から落とされたらまっすぐに敵艦に突っ込んで行く事しか出来ない、まさに人間ロケットという代物。
こんな物を作る人間が信じられない。きっと人間ではなく、悪魔だと思う。


「必ず死ぬ作戦は作戦ではありません」

「カミカゼアタック」と聞けば何かしらいい響きに聞こえるかもしれない。だけど、必ず死ぬ。もはや、作戦ではないのである。
そして、悲惨な事にほとんど相手の戦艦に届かず、敵機に落とされてしまったらしいのだ。
その人たちの命をどう捉えればいいのか、私には分からない。
悲惨。残酷。残虐。冷徹。どの言葉を持ってしても、カミカゼアッタクの虚しさを表す事は出来ないと思う。


まとめ


戦争の事を知らなかった自分を恥じたい。
この小説は全て真実を語っているとは思わないが、戦争に興味を持つきっかけとしての小説としては読んでいて読み応えがあった。


祖父は、臆病者でありながら腕の立つ人間だった。けして自分から命を粗末にしようとはしなかった。だが、最後には特攻して死んだ。そこにたどり着くまでの物語の過程は読み進む事が出来た。
だが、涙する。悲しい物語に涙する。人の行いに涙する。


過去の日本人が行った戦争という悲惨さを「永遠の0」を読んで、是非知ってもらいたいと思う。


では、またー!!!

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